清修館へ越して二度目の夕飯です

 谷村さんは髪に練り油をつけながら、また肩で笑つて見せました。

 4 清修館へ越して二度目の夕飯です。めじまぐろの焼いたのに、油揚げと大根の汁と、葱蒟蒻の味噌なます[#「なます」に傍点]、谷村さんはどれも好物ではありませんでしたが、太つちよの下女の持つて来るお櫃が待ち切れないで、そつと、味噌なます...

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気むずかしく声を荒げて

 谷村さんは、夕飯を持つて来るまでに調べておきたかつたので、気むずかしく声を荒げて云いました。「僕アおなか[#「おなか」に傍点]いつぱいだ、もう一時間位してからにして下さい」 太つちよの女中は、谷村さんを見ても、朝のようにキッキッと笑いませんで、淋しそうに大きい溜息をついて、手紙箱の方をしらべに...

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女のひとの眼

 女のひとの眼は空の色を写していたせいか、美しく、またなくなまめかしく谷村さんの心をかすめました。 谷村さんは、下宿の下まで来ると、またきびすを返して、女のひとに別れました。

 3 もう、街にはあの谷村さんの好きな、夕暮の燈火がつきそめていました。谷村さんは、さらに声高く李白の詩をうたつて、下宿...

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